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THEプロフェッショナルインタビュー10月号  銀座サンボア/新谷 尚人氏


銀座サンボア / 新谷 尚人氏


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バーの原型はスタンディングである
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関西で10軒を構えるバー、サンボア。バーが好きな関西人なら、1度は門をくぐり、名物のハイボールをひっかけたことがあるはずだ。北新地サンボアのオーナーである新谷尚人氏が、銀座サンボアを開店したのは2003年7月。スタンディング形式、午後3時から開店、65歳以上は6時までドリンク半額になるハッピーアワー、オーセンティックな内装、チャージ無しなど、北新地のサンボア・スタイルはそのままだ。
  銀座 サンボア 銀座サンボア

『北新地・銀座サンボアバーオーナー新谷尚人氏、ある日の銀座サンボアバーでの風景』


新谷氏がバーテンダーになった時のエピソードはユニークである。

学生時代、新谷氏は雑誌でバーテンダー鍵澤正男氏の写真を見た。臙脂(えんじ)のジャケット姿に一輪のバラを胸にかざし、カウンターの迎い側に凛として立つ姿。その様子に感銘を受けた新谷氏は、「サンボア」に深い憧れを持つ。やがて、アルバイト情報誌に「南サンボア」のバーテンダー募集の文字を見つけた。引き寄せられるように、そのドアを叩くこととなる。そして採用決定との通知を受けた数日後、新谷氏は衝撃的な事実を知った。

実は、新谷氏が採用されて入店した「南サンボア」のバーテンダーは鍵澤時宗氏。雑誌で見たバラの花を胸に挿したバーテンダーではなく、その弟であったのである。
「容姿は良く似た兄弟でしたが、性格は全く違う。兄である鍵澤正男さんは、律儀で真面目でキッチリとした人。私の師匠である南サンボアのオーナー、時宗さんは、やんちゃで大らかな人柄でした。私には弟の方が合っていたようです」

ともあれ、新谷氏は、バーテンダーとしてのキャリアを、南サンボアからスタートさせた。

「サンボアでは、最低10年修行して、サンボア各オーナーの承認を得ると暖簾分けが許される。ですから、10年というのはひとつの節目であると考えていました。94年10月に北新地サンボアを開店、その9年後には銀座サンボアを開店しました。関西にはすでにサンボアが何店舗かありますから、次のマーケットは銀座にあると考えました」

銀座 サンボア 銀座 サンボア

【山崎のオーナーズカスク。左はサンボア全店で購入。
右は北新地と銀座サンボア限定。全く異なるタイプの2種が楽しめる】

銀座店は20坪の規模。北新地サンボアと同様、カウンターはスタンディング形式だ。カウンター手前には、斜めに肘掛けのスペースがあり、立って軽く肘をかけても格好がつく。カウンターの下側には、もうひとつの仕掛けがあった。

「万が一酔っ払った際、人はどこかにつかまろうとする。カウンターの下には返しがあって、とっさの際はつかまることができるようになっています」

スタンディングにする際、設計士からは土地効率が悪いと言われた。新谷氏は、「スタンディングがバーの原型。お客様をイスにしばりつけておくことはない。」と言って、ゆずらなかった。スタンディング・スタイルの良さは、混雑した際にもちょっと詰めて貰えれば、何とか入店して頂けることがあげられる。

「混雑時には、”ダークダックス”でお願いします」というのは、大阪の立ち飲み店での合い言葉である。体を斜めにして、片足を前に出せば、人数が増えた場合でも席につくことができるという大阪らしい洒落だ。中には、「もう出るよ」と言って、サッと残りのグラスを飲み干して立ち去る、粋なはからいをする常連客もいる。また、バーで知り合いの顔を見つけても、カウンターの端で声をかけるのは無粋だ。スタンディングであれば移動して、声をかければすむ。3〜4人の場合は、2人がカウンターにつき、1〜2人が向かい側に回ればいい。フレキシブルに利用できるのが醍醐味である。
 

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2008/10/21 10:00

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