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後藤氏は20年前、同ホテルのオープニングスタッフとして就職。最初は宴会係から始まり、のちにスカイラウンジへ配属。バーテンダーの見習いとなった。
「それまでバーへ行ったこともなく、バーテンダーとなったのは人事異動がきっかけです。お客様の前でシェーカーを振るようになるまでは、おしぼりを運ぶ係から、ボトルやグラスを扱う係など、何段階もありました。」
カクテルの手法としてビルドがあるが、その前段階としてレモンスカッシュをつくるという課題もあった。レモンの切り方と搾り方、比重の重いシロップ、最後にソーダを注いで混ぜるソフトドリンク。混ぜたりなければ味が均一でなく、混ぜすぎると炭酸が抜けてしまう。
おいしいレモンスカッシュをつくるのは、意外にも困難な作業である。こうした経験を経て、後藤氏は少しずつバーテンダーとしての技術を磨いていった。
バーテンダーという職業の魅力をこう語る。
「バーに来店するお客様は、昼間の肩書きを外してリラックスする場所。おいしいお酒を飲んでお話をして、お客様が元気になって帰っていく姿を見るのが嬉しいですね。」
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コンペティションへの出場がモチベーションに
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バーテンダーとなってから、後藤氏は先輩が出場するカクテルコンペティションを見学した。その緊迫した空気や、出場するバーテンダーの所作などに衝撃を受け、いつか自分もその場へ立ちたいという思いを持つ。
「参加し始めたときは、なかなか入賞できませんでした。いつかはコンペの舞台に立ちたい、から始まって、その次は入賞したい、メダルがほしい、そして優勝したい・・・と少しずつ欲がでてきました。」
数々のコンペティションに参加した後、2004年、HBA(日本ホテルバーメンズ協会)創作カクテルコンペティションチャンピオンシップで優勝した。