2016年2月29日スタイリッシュな異空間で味わう、幻想的なアイリッシュコーヒー
〜東京・南青山bar cafca.(バー カフカ)
午後3時。オープン時間と同時に
南青山のバー「カフカ」さんにやってきました。
南青山は雑誌の撮影や取材、打ち合わせなどで
しょっちゅう出向く場所だし、お店の名前もかわいらしいし、
もしかしたら今後カフェ代わりに立ち寄れる
明るくカジュアルな店かも、と期待を寄せながら・・・。
でも扉を開けた瞬間、その考えは覆ります。いい意味で。
間接照明でうっすら照らした店内は、昼間と思えぬ異空間。
「お足元、お気をつけください」という暗闇からの声を頼りに
テーブル席の横を通り、カウンターへ。
オーナーバーテンダーの佐藤博和さんが出迎えてくれます。
「バーというのは非日常を楽しむ空間です。
非日常の世界で柔らかな時間を過ごしながらご自身の日常を振り返る、
そんな場所でありたいという思いを込めて、店の雰囲気作りをしています」と佐藤さん。
コンクリートのカウンター、植物の影が落ちるムーディなライティング
(影の美しさで選んだドウダンツツジを通年飾っているそう)、
壁にはラフィアという植物の実を使ったシックなフレーム入りオブジェ。
ひとつひとつがスタイリッシュ、でも佐藤さんのソフトな物腰によって
緊張感がやわらげられ、居心地のいい空間になっています。
革張りの椅子は特注だとか!
1杯目は「ジントニック」を作っていただくことに。
クリアながら香り豊かなしっかりとした味わいです。
「繊細で華やかな香りのプレミアムジン『ビーフィーター24』を
ベースに使いますが、その前に別の骨太なジンを少量使って
氷をコーティングしています。
こうすることで『ビーフィーター24』の華やかさがより引き立つのです。
グラスも香りがたまる上部がすぼまったものを選んでいます」(佐藤さん)
グラスは惜しくも廃盤になったというバカラ「ネプチューン」のタンブラー。
チェイサーのグラスは「サンルイ」という仏ブランドの美しいクリスタル!
「実は学生時代に分子生物学を学び、卒業後は研究所に勤務していました。
その頃から、アンティークのクリスタルグラスを集めるのが趣味で。
集めたものを非日常の空間でみなさんに楽しんでいただきたいという
思いから、この道に入ったんです。実家が寿司屋で
幼い頃から接客業に親しんでいたというのもありました」(佐藤さん)
理系の研究職出身。バーテンダーへのきっかけが
お酒でなく〝グラス"とは異色!
人の人生にはさまざまな理由があり、
時にそういった会話が自然にできるのも、
バーという異空間のなせるわざだなと思いました。
実は知人から「カフカに行ったら忘れずに
『アイリッシュコーヒー』を注文して」と言われていました。
それを佐藤さんに伝えると、「少しお時間をいただきたいので
その前に何か1杯お召し上がりになっては」と。
オールドボトルの「カンパリ」をシェイクして
ふんわりした味わいに仕上げた
「カンパリシェカラート」をいただきつつ、待つことに。
生クリームを少量のオレンジリキュールとコニャックで香りづけして
ホイップクリームを作ります。
すずの小鍋にアイリッシュシングルモルト「カネマラ」ときび砂糖、
ネルドリップをしたコーヒーを入れ、火にかけてフランベ!
2つのグラスを使って交互に移し替え
空気を含ませながらアルコールを飛ばす姿は幻想的です。
そしてブラウンシュガー1かけを入れたグラスに注ぎ、
ホイップクリームをのせて完成。
いやー、めくるめく工程を見ているだけで存分に楽しませていただきました。
口に含むとホイップクリームのコク、ネルドリップコーヒーのまろやかさ、
「カネマラ」のスモーキーな香りが混然一体となり、とってもおいしい!
じっくりと味わっているつもりなのに、ぐんぐんと進んでしまいます。
最後になるとブラウンシュガーが溶けて
デザートのような甘さになり、締めにふさわしい満足感に。
丁寧に淹れたコーヒーが味の骨格を作り、男女問わずどんな人にも
「おいしい」と言わしめるであろう1杯。
仕事の途中、アイリッシュコーヒー目的で通ってしまいそうです。
ただし、手間と時間がかかるため混雑しているときは
作れないこともあるそうなので、ご理解を。
<紹介カクテルの価格とお店データ>
DATA
ジントニック 1,500円
カンパリシェカラート 1,500円
アイリッシュコーヒー 1,700円(ホット、アイス有り)
チャージ 1,000円
bar cafca,(バー カフカ)
東京都港区南青山3-5-3 ブルーム南青山B1F
TEL 03-3470-1446
15:00〜24:00 火休
https://bar-navi.suntory.co.jp/shop/S000003534/