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2008年1月31日THEプロフェッショナルインタビュー1月号 バー武蔵/東京・銀座 武蔵昌一氏


バー武蔵/東京・銀座 武蔵昌一氏

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暖かさと優しさに満ち溢れた、バー武蔵から始まる物語
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銀座8丁目の交差点の程近く。重厚な木製の扉にほんの少し気後れする。扉を開くと、まっすぐな階段が下へと延びている。

 たどり着いた「バー武蔵」の店内は、地下にある店とは思えぬほど広々としている。花梨の材を用いたカウンター。カフェを思わせるようないくつかのテーブル席。奥には背の低いソファー席まで。入り口に立ったときに感じた緊張がスッとほどけていくような、開放感すら味わえる雰囲気に包まれている。

 カウンターの向こう側では、笑顔を絶やさぬ明るいスタッフたちが出迎えてくれる。必要以上に飾ることなく、ありのままのスタイルでリラックスすることができるのが、バー武蔵が愛される理由なのかもしれない。

この店のほかに、3つのバーとイタリアンレストランを束ねるのは、オーナーの武蔵昌一さん。武蔵さんは、バー武蔵のあり方を、古い格言を引き合いに出して表現する。

「欧米では、『悩み事があったら教会へ行け。それでも解決しなかったら帰りにバーに寄れ』と言われます。それはなぜか。悩みを聞いた牧師さんは、『神を信じなさい』『がんばって解決しましょう』としか言えませんよね。でも、バーテンダーは『人生そういうもんだ。しょうがないよ』って言えるんですね。そして『まぁ飲みなよ』と(笑)。そうやってざっくばらんなコミュニケーションが取れる場所がバーなんです」
入り口
店内
カウンター

重厚な壁を開きたどり着くと
そこには開放感ある店内が広がる。


 バーテンダー歴20年を越える武蔵さんがこの道に興味を持ったのは、10代の後半。喫茶店でアルバイトをしていたときに、お客からかけられた言葉がきっかけだった。
「話したこともないお客様に『キミの淹れたコーヒーはおいしいな』と、突然言われたんですね。それが嬉しかったのかな……。その後お酒に興味を持って、大学時代はバーテンダーのようなアルバイトもして。いつしかこの業界に入っていました」

 大学卒業後は決まっていた就職も袖にし、勘当覚悟でプロの道を選んだ。酒に触れること、お客と接すること。何もかもが面白く、充実していた。若き日の思いは、誰もが認めるトップバーテンダーになった現在も忘れることはない。仕事を楽しみ、会話を楽しみ、場の空気を楽しむ姿勢がスタッフに受け継がれ、店全体に浸透し、バー武蔵の雰囲気の源になっているのだろう。


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「情報の集約する場所」バーの便利な活用法
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武蔵さん1

 武蔵さんは、バーを「便利な場所」と評する。あらゆる情報の集約する場所で、お客はそこで有益な情報を引き出すことができるという。

 「例えば、新しい土地に引っ越したり、知らない町を訪れたりしますよね。そこでその町について知りたければ、バーに行けばいい。いい床屋はないか、おいしい食事ができる場所はないか、どのへんで遊んだらいいか、その町ならではのお得な情報などなど。気軽にバーテンダーに尋ねればいいんです。もしくは、カウンターに座っている地元のお客さんに聞いてもいい。生の情報が手に入りますよ」


 酒を通じた会話だけが、バーの会話ではない。ちょっとした町の話題から、深い悩み事まで。バーテンダーは優しく受け止めてくれる。

 「コミュニケーションの手法を学ぶ場でもありますよね。1対1の対話もそうですが、3角形のコミュニケーションも大切。

例えば……そうですね、カップルのお客様が来られたとしましょう。男性は女性に言いたいことがあるけれど、直接は言いづらい。そんなときは、第三者であるバーテンダーにそれとなく言ってみる。『オレはこう思うんだけど、どう思う?』みたいに。バーテンダーは自分の考えを言いますね。あくまで空気を読みつつ(笑)。その会話はそれとなく、女性のほうにも伝わるわけです。直接言うよりソフトな感じで。

隣に座った見知らぬ人とコンタクトを取りたいときに、バーテンダーをうまく使うというのもアリですね。そういった会話の楽しみ方ができると、バーの利用の仕方も膨らむと思います」

 「バーは堅苦しい場所ではありません。気軽に会話を楽しみ、時間を楽しむ場所です。『ちょっと時間があるから』というときにふらっと立ち寄れるような……。もっともっとこのカルチャーが広がってくれれば嬉しい。イギリスのパブのような存在になれたらいいですね」


 リラックスできる上質な時間を楽しむためには、馴染みの店が欲しい。そのためにはどうすればいいのか。

 「よく言われる『バーの敷居』は、高くないほうがいい。けれど、全然無いのも良くないと思います。さっきの教会とバーの話ではないですが、そういう悩みや重たいテーマを、敷居の無いようなところで話す気にはならないと思うんです。パワーを使ってある程度の敷居を越えてでも馴染みになった店でこそ、話せることがある。ハードルを越えて得られるものをぜひ味わって欲しいですね」

武蔵さん2
武蔵さん3
武蔵さん4
武蔵さん3

カクテル  
バーは最高の社交場。バー武蔵でしか味わえない
カクテルを会話と共に楽しむ。

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多忙なオーナーが見出す「夢の続き」
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 いまや5店舗の店をまとめ、20人あまりのスタッフを抱えながら、忙しい毎日を送る武蔵さん。その視線は常に前を向き、生きる楽しみに満ち溢れているようにも見える。

 「若いころの夢は今よりはるかに単純でしたね。今は責任もあるし、一人だけの夢を見ているわけにも行かなくなってきたかな(笑)。あえて言うなら、“夢の続き”を見てみたいとは思います。店が増えるだとか人が増えるだとか、成功するというようなことではなく、自分が始めなければ生まれなかった物語の続きを見てみたい、ということ。自分の周りにいる、いろいろな個性を持った人間が、それぞれにどんな物語を紡いでいくのか。それを見ていたいですね」

 武蔵昌一演出による、銀座を舞台にしたバー武蔵の物語は、多様な広がりを見せながら、これからも続いていく。

武蔵さん 店内の様子 バックバー

武蔵昌一氏曰く、まだまだ夢の途中。
『自分が始めなければ生まれなかった物語の続き』をこれからもずっと見守っていく。


  バー武蔵   「バー武蔵」の詳細情報

  店舗情報                                     
    住所 :東京都中央区銀座8-10-7 東成ビルB1F
    電話 :03-5537-6634
    営業時間 :月~土 18:00~翌2:00
    定休日 :日・祝
    アクセス :JR新橋駅、地下鉄銀座駅より徒歩5分

  メニュー                                      
    響17年 1890円
    バランタイン17年 1890円
    山崎18年 2625円
    山崎12年 1575円
    白州12年 1575円
    ザ・マッカラン18年 1890円
    ザ・マッカラン12年 1680円
    ザ・マッカラン12年 ファインオーク 1680円
    グレンフィディック12年 1680円
    バルヴェニー12年 1680円
    ボウモア17年 1890円
    ボウモア12年 1680円
    ラフロイグ10年 1680円
    オーヘントッシャン10年 1680円
    スキャパ  1680円

■バックナンバー
2007年12月:スペリオ/東京・銀座 吉田均氏
2007年11月:銀座 ガスライト/東京・銀座 井口法之 氏
2007年10月:AW(アウ)/東京・渋谷 人見清子 氏
2007年9月:EVITA/東京・銀座 亀島延昌 氏
2007年8月:ダルトン/東京・銀座 石澤實 氏
2007年7月:BAR 酒仙堂/東京・銀座 樋渡洋 氏
2007年6月:Sunshine Bar/神戸・三宮 毛利滋 氏
2007年5月:BAR RAGE/東京・銀座 北添智之 氏
2007年4月:BAR5517(ゴーゴーイチナナ)/東京・銀座 稲田春夫氏 高坂壮一 氏
2007年3月:Bar HERMITAGE(エルミタージュ)/大阪・北新地 田外 博一 氏
2007年2月:BAR FOUR SEASONS/東京・銀座 勝亦 誠 氏
2007年1月:GASLIGHT WHITE HORSE CELLAR/東京・四谷 酒向 明浩 氏
2006年12月:SHOT BAR もるとや/東京・池袋 高橋 克幸 氏
2006年11月:The Bar CASABLANCA(カサブランカ)/神奈川・横浜 山本 悌地 氏
2006年10月:Bar, K/大阪 松葉 道彦 氏
2006年9月:スタア・バー・ギンザ/東京・銀座 岸 久 氏
2006年8月:Top Note(トップノート)/東京・表参道 若林 恵 氏
2006年7月:Bar THE TIME 天神/大阪・東梅田 山本 亮一 氏
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2006年5月:「銀座」BAR オーパ/銀座 大槻 健二 氏
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