広いバックバーを眺めることの出来る奥のカウンターに座り、まず最初の1杯。

涼しくなってきた秋のスターターは、山崎をアレンジした1杯を作って頂きました。
山崎とイエーガーマイスターのカクテルです。

ビターな味わいのハーブリキュールであるイエガーマイスターにレモンのフレーバーをプラスしたカクテルは、
山崎の深く柔らかい香りと味わいを損ねない軽い飲み心地の中にも落ち着きをのある1杯。
夏の「暑さを凌ぐためのすっきりとしたカクテル」とは少し趣の違う
この季節のスターターとしてオンとオフの切り替えにぴったりのドリンクです。

このカクテルを飲みながら、オーナーバーテンダーの井上様に
「山崎とは、どんなウイスキーなんでしょう？」と、お伺いしてみました。

「山崎といえば、やはり日本を代表するウイスキーであり、
日本人の好みの味が大変上手に表現されたウイスキーだと思います。
このウイスキーから日本のウイスキーが始まったと言っても過言ではないウイスキーではないでしょうか」

ウイスキー初心者の私にとって、山崎の深みのある甘さは
「ウイスキーらしいウイスキー」という印象。
それが「日本人好みの味」という事なのでしょうか。

2杯目には、そんな山崎本来の味を楽しめるようにロックで頂きました。

グラスに落とされたレモンチップで山崎のまろやかさに爽やかさが加わり
一層飲み心地の良い1杯に。

こちらのレサシエル様では、12年ものだけではなく、
25年ものや、シェリーカスクの山崎も置いてらっしゃるそうです。

以前は、こんな品もありました。
と、見せてくださったのは、35年もの、50年ものの空き瓶。

非常に貴重な品であることは察しがつきますが、
一体どのような味と香りが楽しめたのか、
初心者である私には、もちろん知る由もありません（笑）
この山崎だけではなく、ずらりと並ぶボトルの中には、他にも「お宝」が隠れているのかもしれませんね。

さて、レサシエル様は、お酒を楽しむバーとしてだけでは無く、
本格的なビストロとしても楽しめるお店。
厨房の見えるカウンター席は、奥のバーカウンターとはまた違った雰囲気が楽しめます。

井上様のお話によると、
バーでは、厨房スペースなどの食べ物を扱う場所を隠すお店が多いけれども、
こちらのお店では、お料理を作っている音や香りも含めて楽しんで頂きたい。とのこと。

せっかくなので、豊富なお料理メニューの中から、食事メニューの
「懐かしのナポリタン」を少し控えめの量で頂くことにしてみました。

イタリア料理店ではオーダーすることが出来ないナポリタン。
でも、このお料理がお好きな方は多いのではないでしょうか。

喫茶店のケチャップたっぷりなナポリタンとは一線を画する大人のナポリタン。
この1品から、ビストロとして利用しても非常に満足できるお店だと感じました。
実際にワインとお食事でスタートされて、その後、じっくりとお酒を楽しむバーとして利用されるお客様も多いとか。

さて、最後の1杯は、甘くしっかりとした味わいのカクテルをお願いしました。

マンハッタンのアレンジで山崎とチンザノのショートカクテル。
僅かに苦味のあるリキュールと合わせることで、山崎の甘い芳醇なバニラ香が非常によく引き出されています。

最初に頂いた軽やかなタイプのカクテルともストレートに味を楽しめるロックとも
また違った山崎の一面を感じさせるラストに相応しいしっかりとした味わいのカクテル。

これまで、ロックでしか飲むことの無かった山崎の様々な一面を感じることの出来た一夜。
カウンターに座り、様々な種類のお酒をオーダーするのも愉しみのひとつではありますが、
こうして、一種類のお酒の様々な面を教えて頂くのも、これまたカウンターでの贅沢な愉しみ方なのではないでしょうか。

すっかり寛いで長居してしまった帰り際、バーとしては大人数のお客様が入ってらっしゃいました。
純粋にお酒を楽しむだけではなく食事も。と、思うには夜が早い銀座の街で、
深夜でもお酒と一緒に本格的なお料理を頂けるレサシエル様は、とても貴重な存在のお店。
お酒にも食事にも万能なお店を知っていることは、銀座を愉しむ上での大人の嗜みなのかもしれません。
秋の夜長、どうぞ大事な時間を「大事な事」という名のバーでお過ごしください。

□■お店情報■□
銀座 オーセンティックバー＆本格ビストロ 「L'essentiel（レサシエル）」
東京都中央区銀座7丁目2-11 菊村ビル 4Ｆ
03-3575-1211
東京メトロ各線　銀座駅Ｃ2出口より徒歩6分／ＪＲ・地下鉄各線　新橋駅銀座口より徒歩6分／地下鉄各線　日比谷駅Ａ13出口より徒歩6分