2015年12月24日細部までの心遣い。愛情あふれる接客で、くつろぎのひとときを創出。
〜東京・銀座 Bar Ginza Grace(バー ギンザ グレイス)
先日、ウイスキーの素敵な飲み方で
ウイスキーの味に目覚めるきっかけをくださったのは
銀座8丁目「バー・ゼニス」の須田善一さんでした。
その須田さんのもとで研鑽を積んでいつしか右腕となり、
2013年、第22回アジア・パシフィック・カクテル・コンペティションで
見事優勝を収めたのが、野原健太さん。
野原さんが2014年に独立し、立ち上げた「バー ギンザ グレイス」を訪ねました。
銀座4丁目の交差点にほど近い、地下1階の隠れ家的なバーです。
野原さんご自身でディレクションされたというインテリアは、
シンプルで清潔感があり、ホッとくつろげる空間。
ここで今回は、数々のこだわりの仕事を拝見することになります。
「バーテンダーを目指した理由ですか?
お酒に詳しい大人の人からいろいろ話を聞き、
仕事に向かう姿勢の格好よさに憧れたからです。
学校を卒業してからはこの道一筋ですね」
などと語りながら、カクテルグラスの中に包丁で削ったシェーブドアイスを。
「寒い時期、お店に入ってせっかく温まったところに
グラスのステム、持ち手部分が冷えていないほうがいいのではと。
だから器の部分だけを冷やし、持ち手部分は室温をキープしています」(野原さん)
それとは別に、ミキシンググラスに氷を入れ
くるくると、ひたすら回転させます。そして溶けた水を捨てて。
「ミキシンググラスを冷やす目的と、水っぽくなることなく、
ねらった通りの味をつくり上げるためにおこないます」(野原さん)
今まで訪ねたバーでも、こういった作業は
きっとどこかで行われていたのでしょう。
でも今回、野原さんの丁寧な説明をお聞きし、
氷を大切にするひたむきな仕事に、ハッと目が吸い寄せられました。
「氷の温度は、マイナス11〜14℃に調整しています。
氷の透明感とともにコンディションを保てる、最適な温度です。
これより温度が低いと割れやすく、高いと溶けやすく水っぽい味に。
ある料亭のおかみに『ここの氷は日本一キレイ』と
褒めていただいたことがあります」(野原さん)
やっぱり・・・! 野原さんの氷へのこだわり、一筋縄ではありません。
そして1杯目、供されたのは「マンハッタン」。
ミキシンググラスにウイスキー「知多」とベルモットを
加え、ステアしてから冷えたカクテルグラスに注ぎます。
オレンジピールをひと絞りして苦味を添え、完成。
「知多」のすっきりとした味わいに薬草のようなベルモットの香りが立ち
丁寧に作られたことを感じられる、クリアな味わい。
隣の常連さんが「知多をベースにしているから
マンハッタンならぬ『知多ハッタン』だね」と命名!
2杯目は「ホワイト・レディ」。
グラスを丁寧に冷やした後、手早くシェーカーを取り出し
「ビーフィータージン」とオレンジリキュールのホワイトキュラソー、
フレッシュレモンジュースと氷をシェイク。
できあがった「ホワイト・レディ」はレモンの酸味と香りが立ち
シェイクでできた氷の粒が口中で溶けるのも楽しく
シンプルながらとてもおいしいカクテルでした。
グラスが温まらないうちに・・・と作ってくださった
野原さんの愛情を感じる1杯。
「覚えることや身につけるべきことはまだまだたくさんある
30代ですが、1杯のカクテルを大切に思う気持ちは誰にも負けません。
それから、大切にしているのは"おもてなしの心"。
はじめにコンソメスープをお出ししています。
スープの油分で胃を守るためと、
ほっと一息ついていただきたい、との気持ちを込めて」(野原さん)
澄んだ味わいのカクテルと心温まるサービスでリラックスできる
「バー ギンザ グレイス」、再訪したくなりました。
<紹介カクテルの価格とお店データ>
DATA
知多ハッタン 1,500円
ホワイト・レディ 1,300円
チャージ 1,000円
Bar Ginza Grace(バー ギンザ グレイス)
東京都中央区銀座5-10-10 銀座マルシマビルB1F
TEL 03-6274-6573
18:00〜03:00(月〜金)、17:00〜00:00(土) 日・祝休
https://bar-navi.suntory.co.jp/shop/0X00363835/