2008年7月24日THEプロフェッショナルインタビュー7月号 THE PLACE/東京・広尾 山本隆範氏
THE PLACE/東京・広尾 山本隆範氏
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バーテンダーの道へ進むことになった、人生を変えるひと言
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「君は裏向きの顔をしていない。今は口下手かもしれないけれども、鍛えればお客様をひきつける魅力がある」
THE PLACEのバーテンダー、山本隆範氏がバーという世界へ飛び込んだのは27年前の事だ。山の上ホテルに就職し、山本氏が希望した部署は厨房である。ところが、配属されたのはバーであった。当時のスタッフの中では、群を抜いて若く、やることといえば水や灰皿を変えることが主な仕事だ。しかしながら、少しずつバーテンダーという仕事の魅力に惹かれていったという。そんな中、当時の山の上ホテルの社長に言われたのが、上記の言葉であった。
「今にして思えば、社長の言ったことは当っていたかもしれませんね」
と、山本氏は笑顔をみせる。
『THE PLACEバーテンダー山本隆範氏』 |
下積みが続いた後、カクテルを作成するなど、バーテンダーという仕事を少しずつ任され始めた。先輩方はなかなか厳しかったようである。
「ジン、ラム、ウォッカ、テキーラといったスピリッツのスタンダートカクテルのレシピを全部覚えて来い。と言われてそれが終わったら、ウイスキーの勉強。次から次へと課題を出されて、覚えるのに必死でした」
厳しいのは先輩だけではなかった。ある日、外国人のお客様に「日本人なのに日本酒も知らないのか」と言われて、日本酒の勉強をしたり、ワインブームの到来でワインを必死に覚えたりという日々が続いた。
「本来、私はお酒を飲めませんでしたし、両親も晩酌をする家庭ではなかったのです。だからこそ、お酒を飲むという文化を全く知らず、未知の世界でしたので、興味が出てきました」
ホテルマンとして、他のホテルへ勉強をかねて、視察も行った。
「ホテルで一番気合の入る時間は、朝です。ですから、敢えてタクシーで乗り付けて、朝食を食べにいったりしました。ドアマンやベルボーイの声の掛け方で、お客様の気分はずいぶん異なる。いつも同じ『いらっしゃいませ』という言葉ではなくて、状況に応じて変えるなど勉強になりました」
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遊び場で提供する、100種類のモヒート
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2001年11月、山本氏は広尾のバー、THE PLACEのチーフバーテンダーとなった。バーカウンター、テーブル席、ソファのあるVIP席などの様々な空間を備えた優雅な空間が広がる社交場である。2005年より、「その場所で、今日は何をして遊びましょうか。」というコンセプトを掲げており、お酒だけではなく、様々な大人の楽しみを提供する。
遊び道具として、同店が夏に提案するのが、「100 Mojitos versin 2008」(2008年5月29日~9月30日)と名付けたプロモーション。オリジナルで考案した100種類のモヒートを提供する。
モヒートは、作家のアーネスト・ヘミングウェイ氏が、ハバナのバー「ラ・ボデギータ・デル・メディオ」で愛飲したカクテルとして有名であり、「わがモヒートはボデギータで」との名言も残されている。クラシックなレシピは、グラスにミントと砂糖を入れ、クラッシュド・アイスを詰めて、ラムと炭酸、ライムを加えたカクテルだ。
THE PLACEでは、クラシックスタイルはもちろんのこと、シャンパンや、ジンやウォッカに代表されるスピリッツ、リキュールを使用したモヒートを提案。いずれもふんだんにフレッシュ・ミントを使用し、スタイリッシュに仕上げた。夏の暑さを忘れる爽やかな味わいは、正に五感で楽しめるカクテルである。
「ニューヨークでは、ジンを使用しない様々なマティーニが誕生しました。今夏公開される映画『SEX AND THE CITY』でもマティーニスタイルのカクテルが登場し、お洒落なニューヨーカーに大流行しているようです。同じように、モヒートで提案できれば、もっとカクテルを身近に楽しんで頂けると思います」
と山本氏は楽しそうに語ってくれた。
「100 Mojitos」は、2006年から開催。同店では、開催前と比較して、カクテルの売り上げを2倍に伸ばしたという。プロモーション開催中は、来店したほぼ全てのお客様が、モヒートを楽しむ。
新しいことにチャレンジする一方で、クラシックなカクテルにまつわる物語をメールマガジンで送ったり、写真つきのレシピブックを作ったりといった啓蒙活動も行っている。
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次世代のお客様と、バーテンダー、両者に歴史や文化を伝える
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「20年を越えるバーテンダーとしての生活の中で、次世代のお客様と、バーテンダー、両者に歴史や文化を伝えるのも私の役目であると考えています」
バーに訪問する、お客様の不安をひとつでも取り除く、という方針から、同店は、メニュー上でチャージやサービス料、金額を掲載し、お会計の際にはきちんと明細も提出する。
一人で、カップルで、グループで、誰と、どんな席で、どんな遊びをするのかは、お客様次第。そして、お客様が楽しく遊べるサポートをするのが、バーテンダー、山本氏の役割なのだ。
『‘落ち着き’と‘楽しみ’が同居するカウンターからは、山本氏がフィルターとなり、自然とバーのよき文化が伝わる』
THE PLACE →「THE PLACE」の詳細情報 店舗情報 住所 :東京都渋谷区広尾5丁目17-10 イーストウェスト2F地図 電話 :03-5447-5505 営業時間 :18:00~翌2:00(L.O. 1:00) ※料理は23:00まで 定休日 :日・祝日 アクセス :広尾駅2番出口より徒歩5分 メニュー チャージ 1,000円 サービス料 10% ジントニック 1,365円 マティーニ 1,365円 モヒート 1,545円、1,890円 ノンアルコール・モヒート 1,260円 山崎12年 1,470円 山崎18年 2,625円 ザ・マッカラン12年 1,365円 ザ・マッカラン18年 1,890円 ボウモア12年 1,470円 ラフロイグ10年 1,680円 バルヴェニー15年 1,680円 バランタイン17年 1,680円 チーズ(お1人様分) 1,050円 生ハムサラミ盛り合わせ 2,625円 自家製スモークソーセージ 1,470円 自家製ロースハム 1,365円 バーニヤカウダ 1,470円 本日のパスタ 1,890円 |
■バックナンバー
2008年6月:BAR東京/東京・銀座 八巻博和氏
2008年5月:Bar HEATH/東京・国立 大川貫正氏
2008年4月:BAR 保志/東京・銀座 保志雄一氏
2008年3月:石の華/東京・渋谷 石垣忍氏
2008年2月:MONDE BAR/東京銀座 長谷川治正氏
2008年1月:バー武蔵/東京・銀座 武蔵昌一氏
2007年12月:スペリオ/東京・銀座 吉田均氏
2007年11月:銀座 ガスライト/東京・銀座 井口法之 氏
2007年10月:AW(アウ)/東京・渋谷 人見清子 氏
2007年9月:EVITA/東京・銀座 亀島延昌 氏
2007年8月:ダルトン/東京・銀座 石澤實 氏
2007年7月:BAR 酒仙堂/東京・銀座 樋渡洋 氏
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広尾のバー「THE PLACE」。1年ぐらい前に先輩につれていってもらって、また来たいと思っていたバー。運良くまたいくことができました☆今回の目的は6月1......
投稿者:グルメノート 2009年6月 3日 19:23