2009年5月22日THEプロフェッショナルインタビュー5月号 BAR ORCHARD GINZA/東京・銀座 宮之原 拓男氏
BAR ORCHARD GINZA / 東京・銀座 宮之原 拓男氏
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フレッシュフルーツと最新調理器具を使用した新スタイルのカクテル
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色々なバーがあるが、液体窒素を使用したカクテルを提供するバーは、非常に珍しいだろう。
BAR ORCHARD GINZA。果樹園(ORCHARD)という名を持つこのバーは、フレッシュフルーツのカクテルを得意とする店だ。
オーナーは、ホテルオークラ神戸出身の宮之原 拓男氏。
液体窒素やエスプーマなどの最新調理器具も積極的に取り入れ、最新スタイルのカクテルを追求する。
【液体窒素やエスプーマなどの最新調理器具を使いこなすBAR ORCHARD GINZA宮之原氏】
宮之原氏はかつて、大学進学のために上京。この時期に、現在は奥様である寿美礼さんと知り合う。
学生時代からデートで銀座のバーへ行くこともあり、いずれバーテンダーになりたいと考えていた。
大学卒業の際に、バーテンダーになりたいと話すと、両親は大反対。
ホテルへの就職であればいいのではないか、ということで神戸のホテルオークラへ入社した。
ホテルバーテンダーを希望していたが、配属はソムリエ。
ホテル内のフレンチ、中華、鉄板焼、和食と様々な業態のレストランで働いた。
実は、この時期はソムリエの配属ということでかなり気落ちしていたそうが、数年後にはソムリエの資格を獲得した。
前後して、遠距離恋愛を実らせ、2000年に寿美礼さんと結婚。それを機に奥様と一緒にホテルオークラ神戸で働くことになった。
「この時期はバーテンダーとしての仕事を覚えたくて、仕事が終わった後や休日に、ホテル内のバーや知り合いのバーで無給で働きました」と宮之原氏。
努力が実り、HBAのホテルバーテンダーとしての資格を取得。コンペティションへの参加資格も得て出場したところ、入賞を果たした。ソムリエの資格を持つホテルマンはそう多くなく、宮之原氏のバーへの異動はなかなか通らなかったが、こうした努力が認められてようやく念願のバーテンダーへ配属された。
【HBAのホテルバーテンダーとしての資格を持つ宮之原氏の実力は努力の結晶】
念願のバーテンダーとなったのち、宮之原氏は、フルーツを使用したカクテルを出したいと考えていた。しかし、当時そうしたカクテルは邪道と思われるふしもあった。
そこで、ホテルの資材部から旬のフレッシュフルーツを持ち出し、新しいカクテルを作ってウエイトレスやウエイターに試飲を頼んだ。こうして味を覚えてもらったことから、お客様に「何かオススメはある?」と聞かれたホールスタッフが、「今日は果物を使ったカクテルがあります」とおすすめすることで、フルーツカクテルが徐々に人気者になっていった。
「ホテルでしたので、食材が豊富にあったのは魅力でした。高価なメロンを使ったカクテルをお出ししたこともありました。でも、このメロンに付加価値をつけて、絶対に元を取るぞという気持ちがありました。結果として、フルーツカクテルが評判になり、単価も上がったので、新種のフルーツを仕入れてもらったり、果物の甘味を引き出す熟成のさせ方を学ぶなど、いろいろなことにチャレンジできました」
と、当時を振り返る。
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ケーキからもヒントを得るユニークな発想
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2007年6月には、満を期して銀座で独立を果たす。
「銀座は、日本で最もバー文化が発達している地域。出店するには、この場所しか考えられませんでした。」
奥様と、ホテルオークラ神戸の後輩である山本浩貴氏と一緒に神戸から上京し、現在の場所へBAR ORCHARD GINZAを開店。宮之原氏が得意とするフレッシュフルーツを使ったカクテルはもちろんのこと、ワインやチーズも厳選して揃えた。
【落ち着いた店内には、果実の香りがほんのり漂う】
「甘いカクテルは、デザート変わりに召し上がるお客様もいらっしゃいます。今の季節は、宮崎産のマンゴーを使ったものが、話題性もあっておすすめですね。冬には和栗と、甘いリキュールやラム酒を使ったモンブラン仕立てのものをお出しすることもあります。」
甘いものは少ししか食べないという宮之原氏だが、ケーキからヒントを得ることもあるそうだ。
夏には、ヨーグルトとパッションフルーツのリキュールを使い、ミントを飾ったカクテルが誕生したりもした。
そして同店のもうひとつの売りは、エスプーマや液体窒素を取り入れたカクテル。これには、一人のお客様からのヒントがあった。
【液体窒素・エスプーマの武器を得て作り上げたオーチャードスタイルを体現する、宮之原氏の進化は止まらない】
「元サントリービジネススクール専任講師の福西英三さんに、エスプーマを使用することを勧められました。また、バーで液体窒素を使用したカクテルを提供する店はまだないから、是非こちらの店でチャレンジしてみてはと言われました」
こうして、現在のBAR ORCHARD GINZA のスタイルが確立した。
今回の写真に登場しているのは、宮崎産のマンゴーを使用したカクテルと、映画カサブランカで登場したシャンパンカクテルからヒントを得たというオーチャード風シャンパンカクテルだ。
「プラムのリキュール、プルシアとアンゴスチュラ・ビターズを液体窒素でシャーベットにして、シャンパンを注いだカクテルです」と笑顔で話す宮之原氏。
今夜は、果樹園のように豊かな発想力で作成された最新スタイルのカクテルで「君の瞳に乾杯」とシャレこみみたい。
【プラムリキュール、プルシアとアンゴスチュラ・ビターズを液体窒素でシャーベットカクテルは格別】
BAR ORCHARD GINZA →「BAR ORCHARD GINZA」の詳細情報 店舗情報 住所 :東京都中央区銀座6-5-16 山楽ビル7階 電話 :03-3575-0333 営業時間 :18:00~翌3:00 定休日 :日・祝日 メニュー チャージ 1,000円 サービス料 無し 東京スカイツリー 1890円 宮崎マンゴーのカクテル 2100円 オーチャード風シャンパンカクテル 2100円 響21年 2625円 響17年 1575円 バランタイン17年 1680円 山崎18年 2205円 山崎12年 1365円 白州12年 1365円 ザ・マッカラン18年 1995円 ザ・マッカラン12年 1680円 グレンフィディック12年 1260円 バルヴェニー12年 1575円 ボウモア12年 1575円 ラフロイグ10年 1680円 スキャパ 1470円 ワイン各種 1575円~ 季節のフルーツ盛り合わせ 2100円 自家製オリーブ 945円 鮮魚のカルパッチョ 1260円 鹿児島県産 地鶏のたたき 1260円 フォアグラのパテ・カルヴァドス(煮たリンゴ添え) 1680円 サラダ各種 1575円~ チーズ盛り合わせ 2100円~ フルーツトマトの冷製カッペリーニ 1575円 48ヶ月のパルメザン・濃厚カルボナーラ 1890円 |
■バックナンバー
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2009年3月:京王プラザホテル ポールスター/東京・新宿 渡辺高弘氏
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銀座 ORCHARD(バー オーチャード)。 数ある銀座のバーの中でも、私の大好きなバーだ。 ...
投稿者:東京 バー紀行 2014年4月16日 10:39