2009年8月 6日THEプロフェッショナルインタビュー8月号 ロイヤルスコッツ/東京・日本橋 後藤 泰宏氏
ロイヤルスコッツ/東京・日本橋 後藤 泰宏氏
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下町のお客様が支持するバーテンダー
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地下鉄半蔵門線、水天宮前駅4番出口から直結のロイヤルパークホテル。東京シティターミナルに隣接しており、羽田空港・成田空港への空港連絡バスが利用できるとあってアクセスが非常にいい。
そのホテルの地下1階にあるメインバーが「ロイヤルスコッツ」だ。チーフバーテンダーは後藤泰宏氏。同ホテルには、20階にスカイラウンジ「オルフェウス」があるが、そちらと比較してメインバーであるロイヤルスコッツには常連客が多いという。
【ロイヤルスコッツでは、今日もバーテンダー後藤泰宏氏が、笑顔で出迎えてくれる】
先日、ロイヤルパークホテルでは、ホテルが誕生した1989年の山崎オーナーズカスクを購入した。149本のボトルができあがり、1本4万円でボトル販売したところ、あっという間に完売したという。
下町のお客様らしいエピソードである。
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後藤氏は20年前、同ホテルのオープニングスタッフとして就職。最初は宴会係から始まり、のちにスカイラウンジへ配属。バーテンダーの見習いとなった。
「それまでバーへ行ったこともなく、バーテンダーとなったのは人事異動がきっかけです。お客様の前でシェーカーを振るようになるまでは、おしぼりを運ぶ係から、ボトルやグラスを扱う係など、何段階もありました。」
カクテルの手法としてビルドがあるが、その前段階としてレモンスカッシュをつくるという課題もあった。レモンの切り方と搾り方、比重の重いシロップ、最後にソーダを注いで混ぜるソフトドリンク。混ぜたりなければ味が均一でなく、混ぜすぎると炭酸が抜けてしまう。
おいしいレモンスカッシュをつくるのは、意外にも困難な作業である。こうした経験を経て、後藤氏は少しずつバーテンダーとしての技術を磨いていった。
バーテンダーという職業の魅力をこう語る。
「バーに来店するお客様は、昼間の肩書きを外してリラックスする場所。おいしいお酒を飲んでお話をして、お客様が元気になって帰っていく姿を見るのが嬉しいですね。」
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コンペティションへの出場がモチベーションに
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バーテンダーとなってから、後藤氏は先輩が出場するカクテルコンペティションを見学した。その緊迫した空気や、出場するバーテンダーの所作などに衝撃を受け、いつか自分もその場へ立ちたいという思いを持つ。
「参加し始めたときは、なかなか入賞できませんでした。いつかはコンペの舞台に立ちたい、から始まって、その次は入賞したい、メダルがほしい、そして優勝したい・・・と少しずつ欲がでてきました。」
数々のコンペティションに参加した後、2004年、HBA(日本ホテルバーメンズ協会)創作カクテルコンペティションチャンピオンシップで優勝した。
「オリジナルカクテルをつくるときは、まずはネーミングから考えます。名前は意味がわかりやすいものに。その名にふさわしい色や香り、材料を決めていく・・・というやり方です」
【梅酒を使った「梅モヒート」は、夏らしいさわやかな味わい。】
この日、紹介して頂いたカクテルは梅酒を使った梅モヒート。フレッシュミントをふんだんに使用した、夏らしいさわやかな味わい。食前、食後どちらにもふさわしいカクテルだ。
「オーセンティックバーの楽しみ方はさまざまです。中でも、ものを考えたり、頭をリセットしたりするには最適な場所。当店はチャージもありませんので、1杯だけ飲んで帰って頂いてもいい。その時その時で、お客様に合うものをお出しするのがバーテンダーの仕事です。是非一度遊びにきてください。」
尚、ロイヤルスコッツは17時~19時半までがハッピーアワー。ビール、カクテル、おつまみ数種類が630円均一と、よりお得に楽しめる。隣接している中国料理店、桂花苑の中国料理とザ・プレミアム・モルツ、もしくはハイボールの組み合わせが、後藤氏のおすすめだそうだ。
【オーセンティックバーの格式や伝統だけでなく、そこに続く自分だけの物語をこの風景と共に共有したい】
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■バックナンバー
2009年6月:フレア・バーテンダー / 羽田善行氏&矢吹昌也氏(ZEN&MASAYA)
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2009年4月:煙時(エンジ) / 東京・銀座 坂本龍彦氏
2009年3月:京王プラザホテル ポールスター/東京・新宿 渡辺高弘氏
2009年2月:SEVEN SEAS/福岡・福岡市 遠藤真彦氏
2009年1月:BAR WOODY/東京・吉祥寺 田中雅博氏
2008年12月:フレア・バーテンダー/UPT 金城 光浩氏
2008年11月:holly BAR/東京・銀座 小島千明氏
2008年10月:銀座サンボア/新谷 尚人氏
2008年9月:バー コレオス/東京・渋谷 大泉洋氏
2008年8月:Ester/東京・中野 伊原孝樹氏